隣の席のInstagram中毒者
先日とあるミュージシャンのライブに行って、ライブとは別にものすごいものをみてしまったので、今宵それを全世界の皆さんとシェアさせていただきます。
以前にも書いたように普段は家から一切でない引きこもりですけれども、今回はそれこそまっとうなノースアメリカツアーで、このカナダの田舎町・バンクーバーにそのミュージシャンがやってくるというので、えっちらほっちらと重い足を引きずって、寒い中いってきました。
ここぞというときにはお金を使う性分なので、それなりに前の方の11列目の真ん中左寄りの席を、Spotify Presaleの開始直後に即購入。喜んで$77をお支払い完了。
前回そのミュージシャンがバンクーバーに来たのは2017年の4月。おおよそ2年半ぶりで楽しみにしていたわけです。
それで当日。
オープニングアクトは「まぁまぁかな」ていう感じで第二のChase Atlanticにはなれなかったけど、それが目当てではないので特になんとも思わず。
この時点ですでに22時をまわっていて「遅すぎだろオープニングアクトカットしろ」と多少思っていたものの、それでもまだ楽しみな気持ちは健在。
それでいよいよステージも暗転して、ヘッドライナーがやってきた。
新作アルバムを引っさげてのツアー。
イントロの開始とともに会場に響き渡る大歓声。
当然のことながら1曲目はアルバムの1曲目。
「ついにきた」
その瞬間、隣の席のアジア系女性の観客がいきなりスマホで動画を撮影し始めた。
え、1曲目から?????
は、早すぎる。
いくらなんでも初っ端から撮影するかと。
普通こういうのはある程度落ち着いてきてから「あ、記念にいくつか動画撮っておこ」となるものじゃないのか。
まぁいい。それだけ好きで興奮しているんだろう。
そう思った次の瞬間、画面になにか文字列をタイプし始めた。
OMG!!!
@banks
なんということだ
ライブ開始3秒後に取り始めた動画を、すぐその場でInstagramのストーリーにポストしている。
僕は信じられなかった。
これが今のライブの楽しみ方なのか。
何でもかんでも、すぐにInstagramに投稿
あれも投稿これも投稿
Instagramにぽいぽいぽい
ストーリーにぽいぽいぽい
狂っている
なによりも僕がひどく衝撃を受けたのは、その観客が打ち込んでいた、恐らくそのミュージシャンのidであろう@メンションが、全くの別人であるという点だ。
僕が行ったライブとは、アメリカのBanksというミュージシャン。
そして彼女のSNSのidはInstagramもTwitterもFacebookも全て hernameisbanks
これはファンなら当然知っていること。
なのに僕の隣のイカれた客がタイプしたメンションは@banks
なんなんだこいつは
はたしてそいつが本当にBanksのファンなのかどうか、もはやわからなくなってしまった。
こいつはただ自分がライブに来ているということを、Instagramにポストしたいだけなんじゃないか?
ライブを観に来たのではなくて、「ライブに来るということ」、そのものをしに来ただけではないのか?
そもそもこいつはInstagramがなくてもライブに来ていたのか?
そんなことを、1曲目の開始20 ~ 30秒ほどで考えてしまった
ちなみのそのidの持ち主はアメリカのなんかよくわからんYouTuberらしい。
海外のライブは基本的に撮影がOKなので、写真や動画を撮っている人はかなりいる。
かくいう自分もそのライブで少しは撮影もした。
しかし後になってそれらを見返すことなんてそこまでしないし、みたところで会場の雰囲気だとか実際の興奮とかは一切蘇ってはこない。
となると、結論としてはそんなにたくさん撮影しても意味がないということ。
まぁ、それをInstagram等のSNSにぽいぽいシェアしたくてそれが唯一の目的というならばご自由にどうぞ、という気持ちです。
それまでは僕もライブの終了後に撮影した写真や動画をInstagramに投稿していたけど、その客を見てなんだか恥ずかしい気持ちになったので投稿するのはやめました。
今後一切やらないと思う。
なのでみなさん、日本では撮影はできないと思うけど、ライブはライブで楽しみましょう。