2022年に読んだ本
去年につづいて今年も書く。去年より読了数がすくないのは反省しないといけない。
小説
『地球星人』- 村田沙耶香
今年唯一読んだ村田作品。
主人公の女の子は自分は宇宙人と思っていて、「人間は生殖をする工場で生きている。私は工場の一員にはならない」といった思想を持っている。序盤に性的虐待を受ける描写があり、そういう経緯がでイカれた思想に至ったんだなとわかるけど、全体的に狂っていてぶっ飛んでいる。エロ薄めのエログロ系。
『ルビンの壺が割れた』- 宿野かほる
ちょっと前に話題になったやつ。二人の男女がメッセージで会話していくかたちで話が進んでいく。
内容はネタバレになるから書けないけど、読みおわってすぐまた最初から流し読みした。読むとタイトルの意味にもなるほどとなる。
けっこう短くて1.5~2時間くらいで読みおわった。
『乳と卵』- 川上未映子
豊胸手術と生理、女性の身体の変化が主なテーマで進むある家族の話。
自分は男だからというのもあってそこまで感情移入できなかったけど、でもこの小説の一番の魅力は内容よりもひたすら流れるように延々と続く文章、今まさにここで試しに書いてみているがこんな感じに句点が少なく、読んでいてノンストップでビシビシと文字に圧倒される勢い、それをとことん味わうことができる点がなにより良いんだけど、慣れてくるまで最初は読むのが辛い。でも20%くらいまで読むと癖になってハマっていく、はず。
『秘密』- 東野圭吾
久しぶりの東野圭吾。
主人公の妻と娘がスキーバス事故に遭って二人とも事故死した、かと思いきや娘の身体に妻の魂が移って生き残るところから話が進む。設定に惹かれて買った。
めちゃくちゃ面白かったけど、読んでいて主人公のあまりの亭主関白具合に少しキャパオーバーした。20年以上前に書かれたというのはわかっているが、家事何もしないし高校生の恋愛に対して「ガキが...舐めてると潰すぞ」的なことを思っているシーンが普通にある。
結末はハッピーなのか悲しいのか、読む人によるかなぁと思った。自分は悲しい派。
『お探し物は図書館まで』- 青山美智子
短編モノ。どの話も舞台は同じ町の同じ図書館でおきる。人生に悩みがある主人公たちがその図書館にいって司書さんから勧められた本をきっかけにストーリーが進んでいく。
全編通してほっこり系で面白かった。久しぶりにバッドエンドじゃないストーリを読んだ気がする。こういうのは人にも勧めやすい。ハッピーエンドの作品ももっと読もうと反省した。
『三体Ⅱ 黒暗森林(下)』- 劉 慈欣
去年に上巻読んで今年やっと下巻フィニッシュ。上巻よりもハマれなくて9ヶ月くらいかけてダラダラ読んだから何回も戻って読んだせいで、内容しっかり追えてない。
三巻目の上下巻も買ってあるから読みたいが巻数進むにつれてハマり具合下がってきているから完走できる自信があまりない。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』- アンディ・ウィアー
SFモノ。この少ないフィクションリストの中で今年一番良かったやつ。でもまだ上巻しか読みおわってない。
ネタバレになるから概要あまり書けないけど、まず1ページ目で主人公は自分が今どういう状況に置かれているのかがわかっていない。そこから自分が今なぜここにいて何をしている途中なのか読みながら一緒にわかっていくのがおもしろい。
SFだけど、三体よりもめちゃくちゃ読みやすい。話の中の科学的描写もわりと理解しやすくてスイスイ読める。たぶんガチガチのハードSFよりもこういうのが自分には向いてそう。
これは1月中に下巻も読む。
その他の本
『殺人犯はそこにいる―隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』- 清水 潔
もらった本。足利事件のことがわかる衝撃の内容だった。
冤罪が発覚するに至った裏側がわかって良かった反面、全体的に腐敗しているとは言わないまでも日本の司法に少し失望した。間違った時にごめんなさいが言えないのはよくない。
本当に真相解明されることを願う。
『科学者はなぜ神を信じるのか コペルニクスからホーキングまで』- 三田一郎
タイトルにそそられて買ったやつ。が、実際読んでみたら肝心の「なぜ科学者は神を信じるのか」答えはほんの少しというか革新的なことは書かれていなかった。それよりも全体的に科学史の話がメインで思っていた内容ではなかったので残念。
『DIE WITH ZERO』- ビル・パーキンス
サブタイトルがうさんくさいけど、これはほんとに読んでめちゃくちゃ良かった。「ゼロで死ね」のゼロとは資産のことで、死ぬ時までにに持ち金使い果たしてゼロにして死のうという本。
現実的に金を使い切って死ぬのは難しいけど、いつ何に使うべきなのかの具体例やアドバイスが納得できる理由と一緒に書かれていてタメになった。
これ読んだ影響で京都へ旅行にいったときに人生最高額の食事してきた。予約するときに本当にいいのかと迷うほど高かったけど思い出に残ったのでいいお金の使い方したはず。人生は経験。
来年は今年よりも多く読みます。
後悔しないタトゥーの選び方
数年前から自分の誕生日にタトゥーを入れることにしていて、あれよあれよと言う間にかなり増えてきた。
毎年どんなのを入れるか考える中で、これさえ気をつければこの先後悔することはないだろうと確信できる基準が自分の中で見つかったのでまとめておく。
※ここで述べる後悔とは「タトゥーを入れた」という事象そのことの後悔ではなく、「なぜこんな(デザインの)タトゥーを入れてしまったんだ」というタトゥーの種類に対する後悔の回避についてとだということ。
それで本題に入ると、タトゥーといえば
まずよくあるパターンとしてこういうのとか
もしくはこういうのを入れがち
これらのデザインはパッと見はシャレていてイケてるように見えるが、年月が経つにつれ、タトゥーの劣化と共に飽きて後悔する可能性があると言わざるを得ない。
理由はこういったデザインを生涯にわたって好きで居続けられるかどうかが不明だから。
20代・30代の頃はいいかもしれないが、40歳も超えて50代あたりで心境が変化することもあるでしょう。その頃になって「俺/私、こんなんもう嫌だ」と思っても、何かしらの手術を受ける以外はどうしようもできないのである。
仮に飽きたとしても「今はそうでもないけどあの頃は〇〇が好きだったなぁ」と懐かしめる性格ならば良いけども、自分は間違いなくそうではないのでこのようなのは避けている。
よく「タトゥー入れたら子ども連れてプールと温泉いけないじゃん!」と言う人がいるが、実際そんなに子ども連れてプール行くか?今時の親たちは行くのかもしれないが、俺は親とじゃなくて友達としかプール行った事ないです。
温泉は年取ってからも行くかもだけど、まぁそこは諦めましょう。自分は温泉がそこまで好きでもないし、温泉がない人生でも問題ないので構わず入れた。
でも、今のところ小さくてあまり目立たないものしか入れていないし、今後大きめのを入れたとしても、行き過ぎなければラッシュガードとかテーピングとかすれば全然隠せるとは思うのでそこまで問題ではないかなと。
じゃあどういったものが安全かと言えば、基準というのもそんなに大したことではなくて「自分にとって不変のものを選んでいれる」だけ。
具体的に何がよいのかと例を挙げると
- 自分のこと(名前、生年月日、出身地など)
- 家族(配偶者は含まない)
など。
実際に自分も自分の生年月日とかそれに関係するものしか今のところ入っていないし、この先もその路線を進んでいくはず。
一見ただのナルシスト野郎に映るかもしれないが、ノリでよくわからんタトゥーを入れて後悔するよりはマシかなと。
配偶者を含まなかった理由は、、、婚姻関係は不変ではないためです。紙一枚提出すれば終わる関係だし、いまどき何組のカップルが離婚しているかを考えればthink twiceするに値するはず。
それに離婚するのは若いうちじゃなくても、ゲイツ元夫妻のように60歳超えてからでもあり得る。
財産分与をして、子供が未成年なら親権を争って決めて、住居の整理やら諸々がやっと終り落ち着いた〜〜〜〜と思ったタイミングで、ふと別れた相手の名前のタトゥーがあることを思い出すのは辛いだろう。いい歳してカバーアップや除去するのも面倒だろうし。
一方、子どもの名前等のタトゥーはガンガン彫って良いと思う。
仮に離婚をして子の親権を持てなくても、自分が子どもの親であるということは不変の事実であるため独り身になっても関係ないから。
まとめると、タトゥーで後悔しないためには、入れるデザインや意味がどれだけ経っても自分にとって変わらない不変の事・物であるかどうか。すなわち:
・かっこいい・かわいいのは入れない
・好きなものは入れない
・一生変わらないものじゃないのは入れない
入社したスタートアップが半年で倒産して無職になった話
今年の初めに人生で初めて失職して無職、通称ニート(NEET, "Not in Education, Employment, or Training")になりました。
振り返ってみるといい経験だったので、そのときのことを後世に残すためこの腐敗したインターネットの片隅に書き堕としておく。
倒産
失職
それはあまりにも突然のこと――
とかではなく以前から、なんなら入社後1ヶ月くらいでバリバリに前兆はあった(後述)。
何も学ばなかった形だけの専門学校の卒業後に、インターンシップからフルタイムへと華麗なる転向を遂げて入った会社を2021年の夏に退職し、その後カリフォルニアのスタートアップへとバンクーバーからリモートジョインしていた。
前職ではもう何年も前から仕事へのモチベーションがなくなっており「はぁ……転職したいなァ……でもめんどい」といった気持ちをずっと抱いていた。
そんな中いざ決心したのは、次に始まるプロジェクトがウルトラスーパークソめんどくさそうで本当にやりたくないシロモノだったため。
「これをや(らされ)るくらいならそれならば、ぼく、がんばって転職します」というノリで職探しを始めた。
実は前年の2020年にも転職を試みていたがものの見事に玉砕して意気消沈しており、それ以来のリベンジであった。
通常ならば転職先が決まってから退職する旨を報告するところ、当時の上司との距離が非常に近かったこともあり、ある日の1on1ミーティング中に、
「俺、転職したいんだ!」と切り出したら、
「エッ、そうなの。実は自分もしようと思ってるんだ。それなら私たち、どっちが先にこの会社から消えるか勝負だね😆」と言われたのだ。
ちょうどそのころNetflixオリジナルのF1のドキュメンタリーをみてF1にどっぷりハマっていたため、レースとなるといかんせん燃えた。
レースでは一着以外は意味がない。The best or the restなのだ。*1
そういった経緯で適当に転職活動を始めそれっぽい5社くらいに適当に書いたレジュメを送ってインタビューを受けたところ、運が良いことにその中の一つからすぐにオファーがきた。
年俸は大して上がらなかったがそれでも増えることに変わりはなかった。なにより今の仕事を辞められるという現実に狂喜乱舞し二つ返事で契約書に即サインした。
こうしてめでたく新卒入社した会社を退職する運びとなった。
今日で退職。5年半楽しかった🙏🙏🙏
— Ryo Makabe (@bg_k) 2021年7月24日
やる気はとっくになかったが、それでも建前上の感謝は忘れない
そんなこんなで始まった新しい仕事ではフルスタックエンジニア()としてフロントエンドとバックエンド両方のコードをいじいじすることになり、楽しく働きはじめた。
しかし、入社後一ヶ月後あたりから給与の支払いが滞り始めた。
この頃の自分の心境は、
「まあ別に多少遅れても俺にはたっぷり貯金あるし。なんなら年始に買ったGameStop株も持ってるし少しくらいの遅れはいいか」
とまだまだ余裕たっぷりだった。
しかし月日が経つごとに自体は悪化していき、最初は一週間ほどの遅れだったのが次の給料日には十日遅れ、また次には二週間遅れと、給料日に支払われることはほぼなくなっていた。
それでもたまに給料日にちゃんと支払われると、
「え!?ちょっと待って!!!給料日当日に給料入ってるじゃん!!なんか今日めっちゃラッキー🥳🥳🥳」
と思うくらいに完全に感覚が麻痺していた。
支払いが遅い理由は単純で会社にお金がないため。そのころはシリーズAの資金調達の真っ最中でシードラウンドの資本でギリギリ食いつないでおり、顧客はほぼおらず入ってくるお金はゼロで資金は減っていく最悪の状態。
そして迎えた2022年。1月の中旬になってもまだ12月最後の給与が支払われずにいた中でCEOから、
「今回も支払いが遅れて申し訳ない。今遅れている分がみんなに支払われるまで仕事は休んでもらってもいい」
とのお達しを受けた。
いつまでたってもシリーズAが終わる気配もなく、このままだと会社の方が終わり、なんなら自分の生活もオワル方向に進んでいることにやっと気がついた。
その後Slackはそっ閉じして、それまでの半年間でクローズしたタスクチケットの中から次のインタビューで話せる良さげな内容のものをまとめレジュメを書き直し、不本意ながらも二度目の転職活動を始めることとなった。
その一週間後に会社が正式に倒産することになり、社員全員(4人)がレイオフされることが決まったとの連絡を上司から個別に受けた。(4人しかいねーんだからCEO自ら連絡しろや!!)
こうして初めてのアメリカン・スタートアップでの挑戦は、ミリオネアになるわけでもなく、あっけなく散る形で酸っぱく終了することになった。
しかし本当の地獄はここからだった……
To be continued……
*1:結果的に自分のが先だったが数ヶ月後に上司も無事に転職していた
今年読んだ本【2021】
今年読んだ本と簡単な感想のまとめ。
正直これ以外にもマジでほんの少ししか読んでないものも多くあるけど、それらは除外して最低20%は読んだやつ or 全部読んだやつのリスト。
読んだ順はまったく覚えていないので、Amazonの注文履歴を参考に買った順に並べてある。
日本語で読んだものと英語で読んだものがあるのでそれらは分けた。
日本語で読んだ本
『死刑評決』- 大門剛明
完全無罪シリーズの第二作。前作の完全無罪と話は特につながっていないけど、主要な登場人物は同じなので先に一作目を読んだほうがいいかも。
日本のドラマ・映画にありそうな裁判モノで、ストーリーがよくできていて面白かった。
文章が単調すぎてうまくはないけど、それを無視できるくらい楽しめる内容だったのでおすすめ。
『銃・病原菌・鉄 上巻』- ジャレド ・ダイアモンド
読んでおくべき本リストみたいなのでしょっちゅう見かけて、去年辺りから読みたいなと思っていたやつ。
今の世界がなぜ白人(ヨーロッパ人)が中心でその他の人種ではなかったのか、とう疑問を解説してくれる人類史の本。世界史に興味あるならおすすめ。下巻はまだ買っていない。
『世界の刑務所を訪ねて』- 田中和徳, 他
日本の刑務所の現状と世界との比較が解説されている本。プリズン・ブレイク大好きなのでタイトルに釣られて買ってみたけど、正直途中から興味が薄れてしまい半分くらいまでしか読まなかった。
『コンビニ人間』- 村田沙耶香
タイトルの通りコンビニ店員が主人公の話。もっというと「普通とはなにか」を問う作品。
おすすめ小説ランキングでよく挙げられていて存在は知っていたやつ。芥川賞受賞作品とあって期待して読んだらめちゃくちゃ面白かった。この一冊で村田沙耶香にハマった。
けっこう短めで、読むの速い人なら2時間くらいで読み切れる長さ。なめらかに読める文章も魅力的でめちゃくちゃおすすめ。
『小説家という職業』- 森博嗣
森博嗣のエッセイ本。
小説家は自分の考えたストーリーを売る夢のある仕事だけど、そういうことは語らずビジネスとしてどうやって成功させて食っていくのかといったゴリゴリのメンタリティが書かれている。けっこう面白かった。
『もものかんづめ』- さくらももこ
引き続きのエッセイ本。かなり有名で、出版されてからかなり年月が経っているから読んだことある人も多いとはず。
彼女の人生でおきた出来事・ストーリーが詰まっていて、笑える話が多め。
幼少期のことを鮮明に憶えているのがすごいと思った。自分にも多少は面白いことあっただろうに何も記憶にない。
『生命式』- 村田沙耶香
村田沙耶香の短編集。村田沙耶香ワールドが全開で彼女の世界観を存分に楽しめる作品。
表題の『生命式』では葬式の代わりに死んだ人間を食べる会・生命式を開き、そこに集まった男女でまた新たな生命をつくる、という世界の話。
他にも人間の身体でできた家具がテーマの話だったり、村田沙耶香の作品は基本的に設定がぶっ飛んでるものが多めで、それでいてめちゃくちゃ面白いからもう大好き。
他の作品を読んだことがないなら、まずこの短編からスタートするのもいいかも。
正直これとコンビニ人間しかまだ読めてないけど、他にもう三冊くらい買っていて読むのが楽しみでしかたない。
『実力も運のうち 能力主義は正義か?』- マイケル・サンデル
昨今よく話題になる能力主義についての本。優秀だと呼ばれる人たちが優秀なのは彼ら自身の努力だけによるものなのかといったことがかなり詳しく解説されている。
若干ネタバレすると、人生はガチャ要素がけっこう絡んでくる、という元も子もないことを突きつけてくる。だからといって努力しなくていいわけではないんだけども。
全部は読んでいなくて、半分くらいで止まったまま。気が向いたら再開する。
『三体Ⅱ 黒暗森林(上)』- 劉 慈欣
数年前から話題の超大作中国SF。いまさら紹介しなくても本好きならもうとっくに知っているであろう作品。
まだ二巻の下巻すら読んでいなくて、めちゃくちゃゆっくり読んでいる。2022年には三巻の下巻まで全部読み切りたい。一巻目より読みやすかった印象。
前半にある「物語の登場人物のことを考えすぎて現実にまで影響を及ぼす」ところの描写が好き。あと相変わらず翻訳が良い。
『わたしたちが光の速さで進めないなら』- キム チョヨプ
韓国のSF短編集。小粒なストーリーが多めで、個人的には全体通してイマイチだった。
翻訳がものすごく単調で、内容以前に読んでいて文章が平坦すぎて何度も飽きてやめようかと思ったけど一応読了した。まぁ、タイトルに釣られて買った感じはある。
『息吹』- テッド・チャン
これもまたSF短編集。SF好きの間では話題になった短編集で、ヒューゴ賞やネビュラ賞受賞作品が何本か収録されている。
個人的には表題作の「息吹」や「ソフトウェアオブジェクトのライフサイクル」よりも一本目の「商人と錬金術師の門」がお気に入り。
まだ半分くらいしか読めてなくて、短編は一本読んだら途中で止まるクセがあるので気をつけたい。
『母性』- 湊かなえ
初めて読んだ湊かなえ作品。母と娘の二人の視点から、二人の人生を回想していく形式の小説。ほぼ辛い話で構成されていて心にダメージを負いかねないが、かなりよかった。「告白」とか他の作品も読んでみたい。
『ザリガニの鳴くところ』- ディーリア・オーウェンズ
ギフトでもらった本で、今年の本屋大賞の翻訳部門大賞作品。今年読んだ本でマジでぶっちぎりで一番よかった。今年どころかここ数年で一番かもしれない。それくらいよかった作品。
主人公のカイアは家族に捨てられ村人からも虐げられているという悲惨なところからストーリーが始まるが、その後のカイアの成長模様や、物語の舞台であるノースカロライナの自然が美しく表現されている。
内容ももちろんだけど、オリジナルの英語版と比較すると翻訳がものとてつもなくよくて本当に感動した。
どれでもいいからなにか小説読みたいなと思っている人はぜひ読んでほしい。
英語で読んだ本
『The Hitchhiker's Guide to the Galaxy』- Douglas Adams
古典SF。有名な「銀河ヒッチハイク・ガイド」。笑えるSF作品って聞いていたけど、正直そんなに面白いと思えるところがなかった。
個人的に好きじゃないのか、それとも英語をちゃんと理解できていないのかをはっきりさせるためにいつかまた読みたい。
『The Midnight Library』- Matt Haig
Goodreadsで2020年のベストフィクションに選ばれた作品。自分の人生に絶望した主人公が自殺をして、過去に違った選択をとっていたら生きられた人生を生きてみる、というパラレルワールドモノ。
別れた恋人と結婚していた人生、組んでいたバンドでデビューしていた人生、オリンピック金メダリストになっていた人生、などなど。その他いろいろ出てくるが、ぶっちゃけると30%くらい読んだところでオチが予想できて結果その通りだったのが残念。でも設定がよくて面白かった。
日本語版はまだないみたいだけど、難しい単語はほぼ全く使われていなくて、全体通してかなりわかりやい英語で書かれているので英語勉強中の人にもおすすめ。
先日書店に行ったら平積みされていて"Over two million copies sold (二百万部突破)"て書いているステッカーがカバーに貼ってあったので売れてるっぽい。
『1984』- George Orwell
超有名なディストピア作品。ずっと前から読もうとは思っていてやつで今年ついに読んだ。
架空の国(でも多分ベースはイングランド?)が舞台の超監視社会を描く作品。過去を改ざんしたり、発行する辞書から言葉を消していって市民の思考を操作しようとしたりと、もう本当にザ・ディストピアな内容。
この作品に登場する言葉(e.g ビッグ・ブラザー、二重思考)があちこちで引用されていて、それらの意味をわかるようになれたのが嬉しい。超有名作品はやはり読んでおくべきなのかも。
『On Writing』- Stephen King
ホラー小説の巨匠スティーブン・キングの自叙伝。上で紹介した森博嗣の「小説家という職業」に少し似ているところがあるけど、それよりも「書く」ということに特化した本。
キング氏が作家になる前の話や、ストーリーを書くテクニック、どんな言葉を使うべきかといったことが綴られている本。日本語版もあるので興味ある人はぜひ。
と、今年はこんな感じだった。
何冊か読みきってないものもあるけど、今年は一年通して何かしら読んでいた印象。ここ何年かは決め打ちで何冊かしか読んでなかったけど、これからはもっと読んでいきたい。
外国人へのあいさつはHelloだけでいい
先週から一週間ほどバケーションでメキシコに行ってきて、旅行中にこれはいかんと思ったことがあったのでつらつらと書く。
なお、あまりに楽しみすぎて最終日にカゼをひいて帰宅したため現在頭がぼーっとしている。ツライ。
行った先はメキシコ最大のリゾート地カンクン。日本では新婚旅行先としてよく選ばれるらしいけど、時期もあるのかあまり日本人はみかけなかった。
そんで本題。
ビーチにばかりにいても黒焦げに焼き上がるだけなので、カンクンのダウンタウンの方にある商店街に土産物を物色しにいったときに、それは聞こえてきた
「ニーハオ」
うーーむ、これはどうしたものか。
この商店街のメキシカンたちはぼくらのことを金を持ったチャイニーズ・ツーリストと思っているのか、親しみを込めてそれを言ったのかはわからない。
にしてもニーハオと言うのは良くない。
なぜか。
単純に、ぼくらが中国人であるかどうか相手からはわからないからだ。
仮にぼくがアジア系のアメリカ人・カナダ人だったらどうか。
アジア系なんてごまんといる。もしくはその他の国の出身だったらどうか。
ただ見た目が東アジア人だからといって中国人・もしくは中国語話者だと決めつけるのはステレオタイプ以外の何物でもない。
白人全員がアメリカ人ではないように、アジア人だからといって特定の国の市民であると決めつけてかかると、場合によってはヤバい状況になることもあるのでこういったことは言わないのがベター。
では代わりにどうするのが最適解かといえば、メキシコにいるのだから Hola (オラー)、もしくはHelloだけでよい。
カンクンに日本人観光客が多くやってくるということを知っているのか、実際には「ニーハオ」よりも「こんにちは」と言われたケースのほうが多かった。
どっちにしても外国人をカモろうとしている感が伝わってきたから、そういったあいさつをしてきた店ではなにも買い物はしなかったけれど。
メキシコに行く前に少しスペイン語を勉強したので
「No somos chinos, you're rude」
と、you're rudeをスペイン語でなんて言うのかわからないから英語を混ぜたスパングリッシュを大声で言うところだったけど、チキンなぼくはそれは言わずに黙って冷たい視線だけを送って事なきをえた。
見た目でどの国の人間かをジャッジするのはやめよう、というおはなし。おわり。